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価格が上がるマンションの条件とは? 写真はイメージですⒸgettyimages 

 2024年は国内外の中央銀行による金融政策の変更が見込まれる。金融市場が転換点を迎えるなか、上昇が続くマンション価格はどうなるか。不動産コンサルタントで、さくら事務所会長の長嶋修さんに聞いた。

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――2024年のマンション市場はどうなりますか。

 マンション価格は新築物件も中古物件も堅調です。ただし、すべてが好調というわけではありません。「駅前」「駅近」「大規模タワー」「都心」といったキーワードに代表されるような、好条件の一部の高額物件が全体を引き上げる構図です。

 こうした上位15%前後の物件は、これからも上昇基調は続くでしょう。一段と値上がりする可能性も高い。これに対し、全体の7割程度を占める中くらいの物件は、なだらかに下落しています。さらに最寄り駅から遠かったり築年数が古かったりする下位15%程度を占める悪条件の物件は取引そのものがないような厳しい状況になる。

 私は「三極化」と呼んでいますが(下の図)、24年はそんな状況がさらに先鋭化する可能性があると考えています。

――足元の販売や価格の動向は。

 マンション新築件数はピーク時に年9万戸だったものが、今は同3万戸程度と約3分の1の水準に減りました。減少分の多くは最寄り駅から遠いなど悪条件で低額の物件です。

 中古マンションは、東日本不動産流通機構によれば、23年10月の首都圏の成約戸数は前の年に比べて7%増、新規登録件数も同3.6%増でした。新規登録件数は10カ月連続の増加です。1平方メートルあたりの成約単価も上昇が続いています。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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成約単価は首都圏のすべてで上昇