東急新横浜線の新駅「新綱島駅」でも、駅直結型のシニア向け住宅や高層マンションが建設中だ。歩いて数分圏内の既存の東急東横線綱島駅前でも、駅前広場や幹線道路をまたぐ歩行者デッキ、複合ビルの建設が進められている。
再開発が進むのは新しくできた路線や駅の周りだけではない。主要都市から地方まで全国でたくさんの再開発計画が進められている。
中でも都心では今年、高さ約330メートルの高層ビルを擁する「麻布台ヒルズ」や、東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅に直結する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が秋にもオープンするなど、大規模なプロジェクトが目白押しだ。
3月10日に「東京ミッドタウン八重洲」が開業した東京駅周辺も、完成すれば日本一となる高さ390メートルの高層ビル「トーチタワー」といった大型事業が同時並行的に進められている。渋谷駅や中野駅でも、再開発でつくられた施設や建物が順次オープンする。
鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは言う。
「再開発にはいろいろな形があり、一言でまとめることはできませんが、鉄道会社や鉄道系の不動産開発会社(ディベロッパー)が主導して進めている計画は、駅そのものや周辺の再開発によって保有資産の収益力を高める狙いがあるようです」
便利な場所にある土地や建物をただ眠らせておくのはもったいない。商業施設やオフィス、マンションなどが入る高層の複合施設をつくったり、駅ビルを新設・建て替えたりして人や企業を集め、より多くのお金を生み出せるようにする。
3月18日に新しい改札口「うめきた地下口」ができた大阪駅では、周辺の貨物ヤード跡地で駅ビルや駅前広場が建設中だ。来年3月には地上39階建ての「JPタワー大阪」ができる。
■豊かな風情消え似た景色ばかり
福井駅の西口駅前では、北陸新幹線の敦賀市までの延伸が予定される2024年3月までにホテルやオフィスが入る再開発ビルを建てる計画だ。広島駅は25年春の開業、北海道の札幌駅は28年度の完成をめざし、新しい駅ビルをつくる計画がそれぞれ進んでいる。前出の梅原さんは続ける。