自民党の裏金問題で東京地検特捜部の本格的な捜査が始まった。関係者によると、安倍派では5年間で5億円の裏金があったといい、議員のパーティー券販売枚数をまとめた「ランキング」資料もあったという。安倍派5人衆やキックバックが高額の議員、そして会長経験者……。検察の捜査はどこまで伸びるのか。安倍派幹部を「更迭」した岸田文雄首相は何を思う。
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12月のある日、東京・赤坂のホテルに、安倍派の国会議員秘書のX氏が入っていった。
政治家のパーティーをはじめ、会合や会食も頻繁に行われるこのホテル。
しかし、この日の用件はまったく違ったものだった。
東京地検特捜部が、取り調べに配慮し特別に部屋を用意し、そこで事情聴取をしていたのだ。
議員秘書「どうあがいても負け」
数時間後、ホテルから出てきたX氏を追いかけて声をかけると、X氏は口ごもりながら、
「やっぱりばれるな。いや、特捜部はみっちり調べるよな。厳しいな」
と話した。取り調べの中身は話せないと言いながらも、
「特捜部は安倍派の政治資金、パーティーの資料をがっちりと押さえている。それを前に出されて『このキックバック、〇〇万円もらっているでしょう。何に使ったのか』と聞かれる。『うちは、議員が全部持っていっているからわからない』と反論しても特捜部は引き下がるわけがない。議員が飲み食いとかに使っていそうなのはわかっているから、それ以上の話をしました。特捜部があそこまでブツを持っていると降参です。これは取り調べを受けた別の秘書も同じように話しています。パーティー券のノルマを超えた分のキックバック、政治資金収支報告書に不記載という点では完全にアウト。どうあがいても負けですね」
とXさんはそうぼやきながら、議員会館に戻っていった。
東京地検特捜部は連日、安倍派を中心に国会議員の秘書をホテルや特捜部などに呼んで取り調べをしている。
安倍派の幹部を経験した国会議員によれば、
「臨時国会が終わってたぶん45人から50人の派閥の事務担当者、議員の秘書が聞かれていると報告を受けている」
と話す。