「桜を見る会」で演説をする安倍晋三元首相

 自民党の最大派閥「安倍派」(清和政策研究会、97人)が窮地に陥っている。政治資金パーティーの収入の一部を裏金化していたとみられる問題で、直近5年間で所属議員にキックバックした総額は約5億円に上る可能性がある。13日には、同派の宮沢博行防衛副大臣が「(政治資金収支報告書へ)記載しないでよいと派閥から指示があった」と暴露。派閥から“かん口令”が敷かれていることも明らかにした。果たして実際にはどうだったのか。安倍派議員の元秘書らがAERAdot.の取材に、パーティー券やキックバックの実態について赤裸々に語った。

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「私の知っている限りのことをお話します」

 安倍派で閣僚経験のある国会議員の元秘書・A氏はこう打ち明ける。

「議員へのキックバックについては、事務所内でも、会計を担当する秘書と議員本人以外には公然の秘密のようになっていました」

 巨額の裏金キックバックの疑惑は、「安倍派5人衆」と呼ばれる松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、萩生田光一政務調査会長、高木毅国会対策委員長、世耕弘成参院幹事長ら幹部議員も直撃し、全員が役職を辞任する見込みだ。それ以外にも大半の議員がキックバックを受けていた可能性が指摘されている。なかには数千万円もの裏金を受け取っていた議員もいるとされるが、議員はキックバックの存在を知っていたのか。A氏は「100%、全部知っている」と断言する。

「約20年前から(キックバックを)やっていたというのだから、議員も当然知っているし、当たり前だと思っていた人もいたはずです。清和会では、一時期『もうこういうことは止めよう』という動きもあったようです。でも、一部の幹部議員がこれに反対したことで、今まで続いてきたと聞きました」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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