昨年12月にパーティー収入などを政治資金収支報告書に記載せずに政治資金規正法違反の罪で有罪となった薗浦健太郎前衆院議員の場合は、不記載の金額は4900万円あまりにのぼった。
「そこがボーダーラインなので国会議員の立件はない、あっても1人か2人ではないか」
という安倍派の衆院議員もいるが、Xさんのように、1千万円に届いていない議員の秘書もすでに特捜部の取り調べを受けている。1千万円未満はおとがめなし、の根拠はなく、仮にそうなっても検察審査会を経て起訴されることも想定される。
検事正経験ある「ヤメ検」弁護士を手配
「キックバックは億単位で、5億円というところもある。5年間さかのぼると年間1億円。当然、これだけの現金を裏金にしてキックバックするには、責任者の了承が必要だ。議員個人もターゲットになるが、責任者となるのが派閥の事務総長と会長、そこがポイントになる」(捜査関係者)
多額のキックバックを受けていた議員のほかにも事務総長や会長も念頭に入れている、という意味だ。
派閥の会長だった細田博之氏や安倍晋三元首相はすでに他界している。現在の事務総長は高木氏、過去5年間でみれば西村氏、松野氏、下村博文元文部科学相もそのポジションにいた。
安倍派では、検事総長候補だった検事正経験のある「ヤメ検」弁護士を手配し、事情聴取を受けると見込まれる議員にも個別に弁護士をつけはじめた。