タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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気がついたら、美空ひばりと同い年になっていました。同年齢の女性として見る彼女はこれまでよりも身近で、その表情にもいろいろな想いが読み取れるような気がします。こういう新しい出会い方もあるのですね。
先日、テレビで1988年の美空ひばりの東京ドーム柿落とし公演が放送されていました。不死鳥をテーマに数々のヒット曲を歌い上げ、病からの完全復活を印象付けた伝説のコンサート。実際には体調はかなり深刻な状態だったそうですが、それを微塵も感じさせない歌声に引き込まれました。森英恵デザインのまさに不死鳥のような金褐色の羽の衣装と、真っ赤な花を全身に纏った衣装。何度かテレビで見ましたが、今までは「迫力のあるおばさんだなあ」という印象でした。