1988年、復活コンサートで歌う美空ひばりさん。東京ドームには約5万人が集まった

 美空ひばりは私の母と同じ1937年生まれ。亡くなったのは89年、52歳でした。あの不死鳥ライブがあった年、彼女は51歳、現在の私と同い年です。まだまだ歌いたいのにと無念だったでしょう。10代の息子を一人残していかねばならなかった胸中はいかばかりか。一人の同い年の女性として見ると、ステージに立つ彼女の姿はこれまでとは違って見えます。幼少期からの才能と長い芸歴を思えばその威厳は当然ですが、病をおしてステージに立つ胸の内には語りきれない想いがあったはずです。昭和の芸能界で大スターだった美空ひばりは、恋愛も結婚も思うようにはならず、濃密な母娘関係や暴力団との関係なども報じられました。「悲しい酒」という有名な曲には、きっと彼女の人生も重なるのでしょうね。

 美空ひばりと同年生まれの母は、当時彼女の歌をどんな思いで聞いていたのか。画面のひばりさんと、テレビの前で歌に聴き入っていたエプロン姿の母と、今の私。時空を超えた同い年の女3人、肩を抱き合いたい夜でした。

AERA 2023年12月18日号

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