三つ目は、第3号被保険者の適用範囲を縮小するというプランだ。「106万円の壁」で社会保険への強制加入対象を少しずつ拡大している動きは、その布石ではないか。
先述した「130万円の壁を一時的に越えても2年間は扶養のままでいられる」という策も“2年後(2025年)の改正を見据えた猶予措置”と、とらえたほうがよさそうだ。
「24年に年金改正の中身が決まる予定です。国会を首尾よく通過すれば、25年中に新制度が始まるでしょう。現時点で注目されているのは、年収70万円超で社会保険への加入を義務化するというプラン。ただ、どう転ぶかは全くわかりません。育児や介護、自身の事情などで働けない人たちへの配慮も必要です。政府の本音は第3号被保険者制度を廃止したいのでしょうが」
自営業者との公平
25年の年金改正でいきなり廃止にはならないだろうが、真綿で首を絞めるように少しずつ、今は免除されている主婦(主夫)にも社会保険料を負担してもらう方向へ。自営業者(第1号被保険者)の配偶者を持つ主婦(主夫)は自分で国民健康保険や国民年金に加入し、免除されてもいないため「第3号被保険者も公平に」という意見も根強くある。10年以上経てば、日本人みんなで社会保険料を払う時代になっていても不思議はない。もちろん育児、介護、病気、障害など事情のある人への配慮はされたうえで。
「社会保険料は強制的に国から取られるという点で、実質的には税金です。こうしたパート年収や第3号被保険者にかかわる動きは立派な『増税』です」
(金融ジャーナリスト・大西洋平/編集部・中島晶子)
※AERA 2023年12月11日号より抜粋