23年1月、南野陽子さん(右)に「日・カンボジア友好70周年」親善大使の委嘱状を手渡す林芳正外相
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 2023年もあとわずか。紛争、虐殺、戦争のニュースに重たい気分になりながらも、東京の街を歩けば、クリスマス商戦真っ盛りで街はきらめき、ショッピングバッグを持ち歩く人々の笑顔と多くすれ違う。この国は今、平和なのだろうか。豊かなのだろうか。

 先日、ジュエリーショップに行ったら、ダイヤモンドのペンギンの小さな置物が100万円ちょっとで売られていた。こんなもの誰が買うのか……と見入っていたら、30代前半くらいの若い女性が「わぁかわいい!」と言ってから数分でクレジットカードを出したので、本当に本当に本当にショックを受けた。1万円を使うくらいの感覚で100万円をポンとすぐに使える層というのを目の当たりにすると、「格差」という言葉がドンッと脳内に響く。ダイヤのペンギンなんて、何に使うのか? という平凡な疑問など、庶民が背負っておけ! という感じだろうか。ああ、なんてこと、日本社会の格差はかくも広がりつつ……と、ぼんやり歩いていると、別の店で中型犬ほどの大きさの金色のゴリラが売られていた。思わずふらふらと中に入って、「その金のゴリラは、おいくらですか?」と聞いてみた。「10万数千円(←はっきり覚えてない)です」と、黒いスーツをビシッと着た店員がにこやかに答えてくれた。へーと、ゴリラを見つめる。隣には銀色のゴリラもいた。狭い店内にはお客さんが何人もいて賑わっているので、きっと金のゴリラも遠くない未来に売られていくのだろう。

 日本は今、どのくらい、豊かで、どのくらい、貧しいのだろうか。

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金持ちは天井知らず、貧しさは底抜け