……書いているうちに暗くなってしまった。こういう現実に向き合うのが嫌すぎて、全く自分の人生とは一ミリも関係ない南野陽子さんの離婚のニュースを追いかけて、彼女の男運の悪さの根源にあるものとは何か……なんてことを考えているほうが気が楽……という気持ちに私はなってしまいがちなのだが、もしかしたらそれ、この国の病に私もかかっているのかもしれない。

 考えてみれば、今年一番日本中のメディアを盛り上げた事件といえば、木原誠二・前内閣官房副長官の妻の元夫の不審な死についてのことでもなく、オリンピックをめぐる政治家の汚職疑惑でもなく、今真っ最中の政治献金問題ですらなく、ヒロスエの不倫、だったのではないか(それすらももう、過去の感じですが)。自分の人生に全く関係のない他人の結婚や不倫や離婚のニュースには関心を持てるが、自分の人生に確実に深く関わってくる政治には無痛気分を選択してしまう。そんな私たちの社会は、平和なのか、混乱状態なのか、豊かなのか、貧しいのか……わからない先行き不透明な2023年も、もうすぐ終わる。本当の平和、本当の豊かさを……やはり願わずにはいられない。