※写真はイメージです。本文とは関係ありません(iStock / Getty Images Plus)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 友人Aを友達でもなんでもない、関係を持ちたくないと思えば、自慢のラインをたくさん見ても「平穏に過ごす」ことは可能でしょう。でも、そうすると、友人であり続ける意味がなくなりますね。

 赤福さん。

 じつは、このほがらか人生相談には、毎月、たくさんの「友達ができない。どうしたらいいの?」という相談が送られてきます。それも、若者ではなく中年以上の人達からです。

 みんな、一人が淋しいと書きます。だから、心から話せる相手が欲しいと。

 でもね、残酷なことを書きますが、一人が淋しいという理由で友人を求める人は、友人はできないんじゃないかと僕は思っています。

 友人は孤独を埋めてくれるカウンセラーではないのです。

 独りでも充分満足していて、休日に独りで充実して過ごせる人が、他人と友人関係をつくれると思っているのです。

 赤福さんも「私の孤独を癒やしてほしい」と顔に書いている人とは、友達になりたくないと思います。自分で自分の楽しみを知っていて、むやみに他人にすがらず、孤独となんとかつきあえている人と会話するから、楽しいのだと思うのです。

 赤福さん。

 僕のアドバイスは、今の関係をとりあえず続けながら、別な友人と出会う道をゆっくりと探りませんかということです。

 そのためには、まず、「経済格下」なんて自分を卑下せず、いろんなチャンスを探ってみませんか。

 赤福さんと同じように、独身で子供がないまま、自分なりの楽しみを見つけて暮らしている人は、大勢いると思います。「家族もなく、お金もなく、病気がちで休みは家にいる」と赤福さんは書きますが、そんなにお金をかけない生活で、散歩とか、料理とか推理小説とか刺繍が趣味なんて人がたくさんいるでしょう。

 赤福さんも、自分なりの時間の過ごし方を見つけて、そこから、ゆっくりと出会いのチャンスを探ってみませんか?

 えっ? それはとても無理だ?

 いきなりは大変でしょう。ですから、時間をかけるために、3人のラインは残しておくのがいいと思います。

 友人Aの自慢ラインを見るたびに、「いやいや、きっとどこかに、辛い思いをしなくてもラインをやりとりできる人がいるはずだ。気軽に、なんのわだかまりもなく『元気?』と言い合える人がいるはずだ。だから、そんな人と出会うために、私は私の『満足する時間の過ごし方』を見つけよう。そうすればきっと、出会うチャンスは現実にもネットにもあるはずだ」と思うのです。

 赤福さん。こんなやりかた、どうでしょうか。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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