鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
この記事の写真をすべて見る

 同級生3人のグループLINEで、大量の写真とともに家族自慢をしてくるメッセージへの返信が辛いと明かす60歳女性。けれど距離を置いたらひとりぼっちになると苦悩する相談者に、鴻上尚史がまず分析した、その同級生の本心とは?

【相談205】同級生3人組のラインが辛いですが、やめたらひとりぼっちで寂しいです(60歳 女性 赤福)

 大学時代からの仲良し3人で10年前からグループラインをやっています。私は未婚、子無し、契約社員で年金も心配なアラ還女性です。

 他の2人は配偶者もおり、子育ても終わり、悠々自適な暮らしのようです。

 活発で結構きつい性格の友人Aが毎週のように「◯◯へ行ってきた」「景色最高!」「旦那が夕飯作ってくれた」「子供からプレゼント」等と盛り沢山の写真をグループラインに送って来るのですが、そのたび「いい景色だね!」「よかったね!」などとコメントを考え送るのが正直辛い。自分は家族もなく、お金もなく、病気がちで休みは家にいるから。

 また、職が長く続かない私のことをAが『見下している』ともう一人の友人Bから聞いたこともあります。

 現に本人Aと2人きりの時に面と向かって「『負け犬の遠吠え』って本知ってる?」と半笑いで訊かれ、「子無し独身のあなたは負け犬」と揶揄されたこともありました。

 物言いのきついAだけならまだしも、もう1人のBがこんなことを告げ口するなんて……とその時はかなり落ち込みました。

 こんな2人と繋がっていて意味があるのだろうか?と寂しくなることがあります。

 でも私は人付き合いが苦手で、誘ってくれるのはこの2人だけ。元気?とラインくれるのはこの2人だけ。距離を置こうと思った事もありますが、そうなると本当にひとりぼっちで寂しい。

 どうやったら経済格下の自分が平穏な気持ちで友人関係を続けられるか、アドバイスをお願いします。

【鴻上さんの答え】
 赤福さん。大変ですね。文面から、赤福さんのひりひりとした気持ちが伝わってきます。

「どうやったら経済格下の自分が平穏な気持ちで友人関係を続けられるか」ということですね。

 人間関係に悩んだ時、僕はいつも「どっちが苦しいか?」を常に考えます。

 赤福さんの場合だったら、友人関係を続けた場合の苦しさと、友人関係を切った場合の苦しさですね。

著者プロフィールを見る
鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

鴻上尚史の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【7/16(火)・17(水)開催決定】Amazonプライムデーは年に一度の大型セール!先行セール商品一部公開中
次のページ