久保建英(ロイター/アフロ)

 昨年カタールで開催されたワールドカップが終わってから早1年。欧州でプレーする日本人選手たちはさらに増え、その存在感も増している。そんな中、来年1月からの冬の移籍市場、そして今シーズンが終了する来夏に向けて、去就が注目を浴びている日本人プレイヤーもいる。今回は現在欧州リーグで移籍など動向が気になる4人の日本人選手の近況を紹介する。

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■冨安健洋(アーセナル)

 プレミアリーグ屈指の名門に加入してから3シーズン目、11月頭に25歳の誕生日を迎えた日本史上最高峰のDFは、今まさに全盛期を迎えている。抜群のフィジカル能力に戦術理解、高いユーティリティ性をこれ以上ない形で表現しており、ポジショニングセンスはアーセナルでも最高だ。昨季ベンチに座る機会が増加したことで「自信を失っていた」とシーズン前に明かしていたが、自らの努力で新たなステージに到達した。だからこそ、ミケル・アルテタ監督は「彼が大好き」と話すし、チームメイトやサポーターから愛されているのだろう。世界を見渡しても、彼のような存在はいないかもしれない。

 そんな冨安だが、11月に入ってからその将来が大きな話題に。中でもドイツ『スカイ』によると、ブンデスリーガの絶対王者バイエルン・ミュンヘンが獲得を狙っているという。フランス代表DFバンジャマン・パヴァール退団に伴い安定感を欠く右サイドバックのポジションに、冨安を理想的な選手として迎えたい考えのようだ。その他にも、今年夏にインテルが獲得に動いていたことやアーセナルが契約延長オファーを出したことなど、去就に対する注目度は高まり続けている。冨安が現在のハイパフォーマンスを続ければ、こうした噂はますます増えていくだろう。おそらく、冨安を求めるクラブは世界中にいくらでも存在する。

 では、移籍の可能性はあるのだろうか? 本人はここ数シーズン、アルテタ監督への敬意とクラブへのリスペクトを強調し続けてきた。「自分が今いるクラブで世界最高の場所まで到達したい」、そんな趣旨の発言を繰り返している。そして今のアーセナルは、そのためのプランが明確に存在する。だからこそ、その他の主力選手も愛着を感じ、アルテタの下で才能を開花させ続けているのだろう。これ以上居心地の良いクラブはないかもしれない。とはいえ、これまでの傾向から絶対的なレギュラーではないことも事実(それすらひっくり返そうな勢いだが……)。本人が「夢」と語るチャンピオンズリーグ優勝を狙えるようなクラブから魅力的な提案があったら……。バイエルンはそんなクラブであり、現代サッカーの移籍市場に“絶対”はない。現時点で可能性は低そうであり、契約延長の行方にもよるが、今後の決断からは目が離せなさそうだ。

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新天地で苦しむ選手も…