■久保建英(レアル・ソシエダ)
昨年のカタール・ワールドカップ以降からその秘めたポテンシャルが爆発、今季も昨シーズン後半の勢いを維持し、ラ・リーガ14試合で5ゴール、2アシストをマークしている久保建英。右サイドで放つ存在感は強烈で、リーグで最も「怖い」アタッカーであり、そのキャラクターも相まって今やラ・リーガの「顔」とも呼べる存在だ。最近の試合では2~3人による徹底マークに遭っているが、その影響で周りの選手がフリーになることは熟知しており、チームメイトを輝かせるプレーもお手の物。とはいえ自分が主役になれば圧倒的なクオリティでアタッキングサードを支配するなど、相手DFにとっては何から手をつけていいのかわからない存在となっている。海外メディアではこれまで何度も“日本のメッシ”と形容され続けてきたが、史上最高の選手に日を追うごとに近づいていることは確かである。
そんな22歳の日本代表アタッカーだが、これまで何度も指摘されてきたように、レアル・マドリーへの復帰説が常に噂され続けている。『The Athletic』のマドリー番記者マリオ・コルテガナによると、ソシエダ側が持つ金銭的な権利は50%。現在の契約解除金は6000万ユーロ(約97億円)に設定されているが、マドリー側はその半額で買い戻すか、もしくはその半額を手にするかを選択できる状況のようだ。また他クラブが久保の獲得に動いた場合、そのオファーをソシエダが受ける前に同額で買い戻すかを決断できる契約が結ばれているという。同記者は、マドリー側は「注意深くフォローしている」としつつも「現時点で接触はない」と指摘。その一方で、プレミアリーグの複数クラブも動向を注視していると伝えている。
本人は今年6月、「ここ以上に自分が輝ける場所を見つけるなんて不可能。自分にとって完璧な家を見つけたにもかかわらず、急に移籍する意味はない」と断言した。だからこそ、夏に届いたサウジアラビアからの巨額オファーは断っている。とはいえ今の活躍が続けば、世界中のビッグクラブが放っておくわけはない。そしてソシエダの伝統と経済的な規模を考えると、どうしても久保の驚異的な成長にクラブが置いていかれる未来が来るかもしれない。ある地元出身記者は「いつか羽ばたいていくのはわかっている」とし、「だからこそ彼がいる今を楽しみたい」と切ない思いを明かしてくれた。それが来年夏になるのか、その先になるかはまだわからない。しかし、日本史上最高の才能が、近い将来にメガクラブへと飛躍するのは確かなように思える。
(文・三上凌平)