オリックスの優勝パレードで、バスから手を振る山崎

 他球団の編成担当はこう語る。

FA移籍する選手が決断するうえで重視するのが、契約年数と年俸です。ソフトバンクには条件面で他球団は勝てないですし、巨人は現役引退後のケアを含めてしっかりしている。両球団が選手たちから人気だったのは必然と言えます。ただ、近年は実力が抜きん出た選手はFAかポスティングシステムでメジャーに挑戦するのが主流となっている。超一流と呼ばれる選手は米国に行くので、国内移籍でFAの需要が高い選手は少しランクが落ちる。彼らが重視するのは成長できる環境、起用法です。今は球団の垣根を越えて選手同士が情報交換する時代ですから。選手間で人気が高いのがオリックス日本ハムです」

 一昔前だったら考えられなかっただろう。オリックス、日本ハムは主力選手がFAで流出するチームの代表格だった。2018年オフに西武の主砲・浅村栄斗(現楽天)がFA宣言した際はソフトバンク、楽天、オリックスが獲得に乗り出す争奪戦に。オリックスは地元・大阪出身のスター選手がのどから手が出るほど欲しかったが、交渉の機会がないまま断りの連絡が入った。

 在阪のスポーツ紙記者は「資金面で他球団に見劣りするわけでなく、練習施設も充実していたが当時は万年Bクラス。関西では阪神の人気が圧倒的なのでメディアの扱いも小さかった」と振り返る。

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