選手のFA移籍する球団が「多様化の時代」に入っている。パ・リーグの各球団が地方都市に根づき、地域密着で人気球団となっていることも大きく影響しているだろう。ただ、FA移籍で即戦力のタレントを獲得したことが必ずしもプラスアルファにならないところが野球の奥深いところだ。今年38年ぶりの日本一に輝いた阪神はドラフトで獲得した選手の育成を重視する方針にシフトし、18年オフにオリックスからFA宣言した西勇輝を獲得以降は、今オフを含めてFA補強に動いていない。
「FAで獲得する選手が活躍する時期は長くても3、4年。それ以降は下り坂になる。山本(オリックス)や今永昇太(DeNA)のような絶対的エースならともかく、少し力が落ちる選手を獲得するなら生え抜きの選手を起用し続けて一本立ちさせたほうが、チーム力が高いレベルで長期間持続する。FA補強に慎重な阪神のやり方は理にかなっていると思います」(在阪テレビ関係者)
巨人、ヤクルト、DeNAなどは山崎福の獲得に失敗したが、生え抜きの若手から今年の村上頌樹(阪神)のように大活躍する救世主が現れるかもしれない。FA補強が成功だったかの答え合わせは、数年先の話になるだろう。
(今川秀悟)