新宿・歌舞伎町にはキャバクラ、ホストクラブなど「夜の店」が立ち並ぶ

男性の「キャバクラ散財」とは構造が違う

 塩村氏がこの問題を国会で質問して以来、ネットには多くの誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれたという。

「『好きで貢いだお金、本人の自己責任だろう』などの書き込みが多いですが、女の子はマインドコントロールされているので正常な判断ができません。『借金した人に税金を使うな』という書き込みもありますが、売掛金を税金でたて替えるというような話は一切していないですし、税金なんか一円も使いません。そういうデマを流してでも妨害しようとしてくる人がいるんです」

 いわゆる“反対派”の中には、男性がキャバクラに通って“疑似恋愛”で高額を支払わされても救済しないのに、なぜホストクラブの女性客だけは助けるのか、という「不公平さ」を挙げる人もいる。これについて塩村氏はこう反論する。

「キャバクラで男性客が取られるのは、預貯金や財産だけです。ところが、ホストクラブに通う若い女性客はそもそも、預貯金は少ないし、持っているお金は全部絞り取られる。金が尽きたら、女性の体が与信になるんです。多額の売掛金を負わされ、それを返済するために、体を売らせていく。まさに“沼”で、そこから抜けられなくなる。そういうスキームができていることが問題なのです」

 現在、塩村氏の元には娘がホストにハマッた母親たちからの苦悩の相談や情報提供が寄せられている。ある母親からはこんな相談があった。

シングルマザーとして育てた娘さんは、会社員として普通に働いていました。ある日、友達に誘われて軽い気持ちでホストクラブに行き、なにげなく『あのホストがカッコイイ』と言ったそうです。後日、歌舞伎町をその友達と歩いていたら、そのホストと“偶然”に再会し、『運命みたいだね』と言われ、夢中になってしまった。そして店に通ううちに売掛金がたまり、娘さんは高級ソープランドで働くことになり、ついにはマンションの中層階から飛び降り自殺をはかってしまいました。なんとか一命はとりとめましたが、現在もずっと病院のベッドで寝ていて、母親が看病しているそうです。私も涙なしでは聞けませんでした」

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偶然の再会もホストが「仕組んだ」か?