それで渡すときに、普段の試合を見て気づいたことなんかを一言添えるんだ。渡し終わったらそのまま全員で、事務所のすぐ下にある居酒屋「つぼ八」へ直行だ。
プロレスラーが大人数で飲み食いするんだから、会計が24~5万円にもなって、レシートが2メートルになるんだ(笑)。途中でレシートの紙が切れて「明日取りに来ます」ということもよくあったよ。
俺が経営者として影響を受けたのはやっぱりジャイアント馬場さんだ。馬場さんは経営者としての選手に対する距離感、つまり、あまり近づきすぎない、親近感を覚えさせないという立ち位置を教えてくれた。
選手が金がなくてピーピー言っているときでも、キャピトル東急ホテルで飯を食って、常に“ジャイアント馬場”であろうとしていた。ただ、馬場さんも自由気ままな贅沢三昧というわけでもなかったようだ。
馬場さんがポロっと口にした言葉
俺が全日に入って間もないころ、馬場さんの車で町田の会場まで一緒に行ったとき、「いやぁ、俺もやりたくて全日本プロレスをやったわけじゃないんだ。日本テレビがやれっていうから、しょうがなくやっているんだよ。いち選手だったらもっと稼げているのに、こんなキツイ思いをして……」とポロっと口にしたのを覚えている。