今回の朝日新聞社の世論調査では、この減税と現金給付について国民の評価は低く、「評価しない」は68%で、「評価する」の28%を大きく上回った。
荻原氏が続ける。
「岸田首相は、所得税減税について、過去2年間の税収増を国に還元すると述べましたが、その税収増分は国債の償還などですでに支出していると鈴木俊一財務大臣から否定されました。岸田氏はどうしてこんなデタラメを言うのでしょうか。首相への信頼性が問われます」
鈴木氏の発言にも問題があると荻原氏は指摘する。
「鈴木財務大臣は『(所得税の)減税をするならば、国債の発行をしなければいけない』と回答しました。そこが非常に残念なところです。これ以上の国の借金を作るのではなく、たまりにたまっている基金の抜本的な見直しを行うべきではないでしょうか」
荻原氏が指摘する“基金”とは、国が複数年度にわたる特定の政策に対して、必要なときに使うことができるもの。残高が膨れ上がっていることが問題視されている。これらの基金は、使い残しが総額は16兆円に上る。永田町関係者からは「使い道を十分に検討しないまま予算がついてしまっていることが原因。適切にお金を使うことができていない」とかねてから批判の声が上がっていた。
荻原氏が言う。
「ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響でエネルギー価格などが上がっており、止まらない物価高が続くなか、厚労省の調査(毎月勤労統計調査)によれば実質賃金は18ヶ月連続で減少しています。この有事の際に、こうした基金を使わなくてどうするんですか」