一方のモイセエフはロシア出身の両親を持つ左の強打者。旧チームから中軸を任されており、秋の東海大会でも4試合で10安打、長打3本、打率.625と圧倒的な成績を残している。今大会も厳しいマークの中で歩かされる場面も目立ったが、2試合で5打数3安打、ホームランを含む長打2本と見事な全国デビューを飾った。特に星稜戦では第1打席でライトスタンドへ高々と打ち上げるソロホームランを放つと、第2打席では“火の出るような”と形容したくなる鋭い当たりをセンター前に弾き返して観衆の度肝を抜いた。センターの守備ではエラーを記録し、まだ攻守に粗削りな感じは否めないが、フルスイングの迫力は抜群で肩の強さも備えている。チャンスに強いスター性も魅力だ。

 大学の部も来年の目玉と言われている宗山塁(明治大・遊撃手)、金丸夢斗(関西大・投手)の2人が出場を逃したが、有力候補は少なくなかった。まず投手で目立ったのが徳山一翔(環太平洋大)と寺西成騎(日本体育大)の2人だ。徳山は昨年のこの大会でも国際武道大を相手に7回をノーヒット、9奪三振の快投を披露。今大会も初戦の東農大北海道オホーツク戦で7回を被安打4、1失点、11奪三振と圧巻の投球を見せた。サウスポーから繰り出すストレートはコンスタントに150キロ前後をマークし、数字以上の勢いが感じられる。変化球の精度は課題だが、これだけ力のあるボールを投げる左腕は貴重で、人気を集めることになりそうだ。

 一方の寺西は神宮大会出場をかけた横浜市長杯に比べると少し調子を落としているように見え、準決勝では慶応大の広瀬隆太(ソフトバンク3位)に逆転スリーランを浴びて負け投手となったが、それでも5回までは見事な投球で試合を作った。悪い癖のないフォームで縦に腕が振れ、140キロ台後半のストレートと140キロ前後のスプリットで三振を奪う。長く怪我で苦しんだだけに少し慎重な起用法になっているが、来年はフル回転での活躍に期待だ。

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大学生の野手にも“別格”な存在