待ったなしの災害に備えて全体を見通し、遅れがあれば課題を探る。ただ、どの部局も限られた予算や人員でやりくりしていて、スケジュールはそれぞれだ。

「プロジェクトは早く進めたいが、無理な押し付けではだれもやる気が出ない。各部局の意見をしっかり聞き、こちらも本音で話す。部局はちがっても目指すゴールは同じという意識を持って、一緒に取り組んでもらうことに力を入れています」

 元々は民間で技術者として働いていた。10年間勤務した後、「もっとダイレクトに多くの人の役に立つ仕事をしたい」と東京都の職員に転職。下水道局、港湾局、福祉保健局など幅広い部署で経験を重ね、プロジェクトの旗振り役を命じられた。

「関東大震災から今年で100年。東京都はこれまで以上に本腰を入れて覚悟を持って防災対策を進めます。災害に負けない強靱な東京をつくり、災害でつらい思いをする人が一人も出ないようにする。それが私たちの使命です」

(ライター・浴野朝香)

AERA 2023年11月27日号

[AERA最新号はこちら]