山奥の採集地に10人ほどの研究者と一緒に行き、キャンプしながら4日間過ごして帰る直前、ホッと一安心の鈴木さんと長女=2011年、米国・北カリフォルニア

 世界を前に進めるために研究しているわけですよ。そういう意味では、宇宙研も未踏の地に、独自の技術で探査機を飛ばすことを目指しているので、好きなんです。もちろん、はやぶさ・はやぶさ2をはじめとして探査機で得たサンプルで、インパクトのある論文が発表されている。今は、今年9月に打ち上げられたSLIM(小型月着陸実証機)が月に到着するのを楽しみにしています。そこで使われているピンポイント着陸技術も日本独自のものなんですよ!

過酷な環境の微生物にシンパシー

――そもそも、どうして研究者の道に?

 私は福岡の私立女子高に通っていたときにメンデルの法則に出会って感激し、生物学の勉強をしたいと思うようになった。だけど、大学入試にあんまり興味が持てなくて。大学は地元ではなく東京がいいとは思った。一方、あんまり競争の激しいところは嫌で、生物学科のある私立大学にいくつか願書を出しました。

 私、極限微生物なんて研究するようになったのは、そういう過酷な環境にいる微生物にシンパシーを持つということもあるんですけど、この分野は競争が少ないっていうことも大きかった。1人で静かにサイエンスしたいと思って、マニアックといえばマニアックなこの分野を選んだんですよ。

 ともあれ受験のときは、東京のおばあちゃんのところに泊まったんですけど、このおばあちゃんが口うるさくてね。

――おばあちゃんって、どちらの?

 母方です。パンを食べるとき「斜めに持つな」とか言われて、高校生にとってはとっても面倒で、早く福岡の家に帰りたいなあと思った。最初に試験があったのが東京理科大学で、手ごたえが良かったので家に電話して「受かったと思うから早く帰りたい」と言ったら、母は「そうなの、だったら帰ってきたら」って明るく言った。それで、合格発表の前に福岡に帰りました。父からは、「ほかの大学の受験料がもったいない」ってちょっと怒られましたけど。

――アハハ、確かにもったいない。理科大に入ってどうでした?

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