チームづくりは一朝一夕で変わらない。阪神は毎年のように優勝争いを繰り広げていたがなかなか頂点に立てず、今季18年ぶりにリーグ優勝を飾った。万年Bクラスでもがいている中日は、CS進出が来季の現実的な目標になるだろう。中日を取材する記者は、「阪神が目指す野球を見習うべき」と提言する。
「今年の阪神は打線が束になっている印象があった。具体的に言うと、なかなか得点が取れない好投手には序盤に球数を費やさせることを徹底して、意図が理解できる見逃し三振を責めなかった。四球と見逃し三振は紙一重ですし、選手は心理的負担が軽くなったと思います。連打はなかなか望めないなかでどうすれば点を取れるか。中日はチーム盗塁数が36で、リーグトップだった阪神の79の半分以下です。失敗しても仕掛けていかないと相手バッテリーへのプレッシャーを変えられない。個々の能力は簡単に上がらないですが、意識を変えるだけでも得点力アップにつながると思います」
投手陣を見ると、先発は柳裕也、小笠原慎之介、高橋宏斗、大野雄大、涌井秀章に加えて梅津晃大、根尾、仲地礼亜ら若手が力をつけている。抑えは安定感で球界トップクラスのライデル・マルティネスが控えている。カギを握るのは得点力アップに尽きる。
立浪監督は来季が3年契約の最終年。勝負のシーズンに向け、どのようにチームを立て直すか。
(今川秀悟)