女性トラブルについて謝罪する山川

 一方で違う見方も。パリーグ球団の首脳陣はこう分析する。

「ウォーカーは指名打者で起用するとなると、山川は一塁を守る。守備能力の高さで言えば、中村晃の方が上です。打席で粘りもあるしスタメンから外れてもらった方が助かる。中村晃を外野で回すとなると、柳田、近藤は外せないから周東佑京がはじき出される。周東を三塁に回せば、栗原が外れる。つまり、山川が入ることで主力選手が出られなくなる。近藤、柳田、山川、ウォーカーは確かに破壊力がある並びだけど足が使える選手たちではない。必ずしも大幅な戦力アップとは言えないと思います。総合力で言えば、マークするのは間違いなくオリックスです」と強調する。

 西武を取材する記者も同調する。

「山川は確かに球界屈指の長距離砲ですが、近年は故障が多くフルで出場したシーズンがない。今年で32歳という年齢を考えると、稼働する期間はそう長くないのでは。故障のリスクが高いので、過度な期待は禁物です」

 懸念されるのは、ソフトバンクのチーム強化策だ。ダイエー時代から育成能力の高さが強さの源だった。小久保監督、松中信彦、城島健司、井口資仁、川﨑宗則と生え抜きの選手たちが主力となり、FAで獲得した工藤公康が勝利への執着心を体現して低迷期から脱却し、常勝軍団の礎を築いた。その伝統は後輩たちに引き継がれ、松田宣浩、本多雄一、長谷川勇也、柳田、今宮健太、中村晃、育成枠で入団した千賀滉大、甲斐拓也、牧原大成、周東佑京が大ブレークするなど生え抜きの選手が中心となり黄金時代を築き、20年にパリーグ史上初の4連覇を飾った。日本シリーズで巨人に2年連続4連勝とその強さは圧倒的だった。

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