ゴールデン・グラブ賞は記者投票によって選定される。日本の報道機関(新聞社、通信社、放送局)のプロ野球記者で、5年以上の取材キャリアを持つことが投票の資格者として定められている。
セ・リーグ球団のスコアラーは、選考方法に複雑な表情を浮かべる。
「記者の方たちの選考を疑っているわけではありません。ただ、明らかに守備が得意でない選手に何票も入っている結果を見ると、本気で考えてくれているのか疑問に感じます。無記名での投票も責任感を希薄にしている。現場の首脳陣や選手、審判による投票のほうが公平ですよ」
メディア側の言い分はどうだろうか。実は記者投票に疑問を感じる声は少なくない。
「番記者の数が多い巨人、阪神の選手は票が集まりやすいので有利になる傾向がある。あと、自分が担当している球団以外の試合はなかなか見られないので、どうしても『この選手は守備がうまい』という先入観に頼ってしまう。UZRなどセイバーメトリクス(統計学的手法)で守備能力が数値化されるようになっていますが、調べていない記者は少なくない。選手間投票に変更したほうがいいという意見は理解できます」(スポーツ紙記者)
「大きな声では言えませんが、記者投票は時代に即していないと感じます。自分の担当する球団はひいき目に見てしまいますし、守備の名手を選ぶのに打力などが反映されてしまう。誰もが納得できる選考方法を考えると、選手間や監督、コーチ、プロ野球OBの投票のほうが説得力がある」(民放テレビ関係者)