23年度のOSA予算は初年度ということもあり20億円で、対象国はフィリピンの他、マレーシア、バングラデシュ、フィジーに限定されている。24年度は21億円の通常の要求の他に金額を示さずに要求する「事項要求」も行っているので、年末の予算編成での大幅増額が予想される。もちろん、25年度以降も急激に増えるのは確実だ。

 パレスチナとイスラエルの問題に限らず、戦争の原因に貧困と格差があることは周知の事実だが、日本のODAは、そうした戦争の構造的要因を取り除くために軍事面ではなく、平和的経済協力に特化して支援を行うという理念を持っていた。

 一方、OSAは、軍事支援で戦争を抑止しようという考え方だから、これとは真っ向から対立する。

 これまでの大国による途上国への軍事支援がさまざまな形で地域紛争を起こしていることが明らかなのに、そうした教訓に学ばず、日本国憲法の理念から逸脱する岸田政権の姿勢は非常に危険なものだ。

 ところで、岸田首相がフィリピンで高らかにOSAによる沿岸監視レーダー無償供与を発表したのは11月3日「文化の日」だった。その文化の日は、何の日か?と問われて、最近は答えられない人も増えているそうだ。

「国民の祝日に関する法律(祝日法)」には、文化の日制定の趣旨が「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と書かれているが、実質的な意味は、何よりも、昭和21年11月3日に日本国憲法が公布されたことを記念するということにある。

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11月3日は「戦争放棄宣言記念日」と言うべき