【大学教員の「メディアへの発信度」ランキング 31~40位】『大学ランキング2024』(朝日新聞出版)より。1997〜2022年に刊行されたおもな新書の執筆者で常勤の大学教員(教授、准教授、講師、助教)が対象。延べ人数。客員教授、名誉教授などは含まない。また、翻訳、対談、共著は外した。肩書は執筆当時に所属していた大学。対象の新書は次のとおり。朝日新書、岩波新書、角川新書、河出新書、幻冬舎新書、講談社現代新書、光文社新書、集英社新書、集英社インターナショナル新書、小学館新書、新潮新書、ちくま新書、中公新書、文春新書、平凡社新書、NHK出版新書、PHP新書。

 上位15位以外で大学教員が執筆したものとして、一橋大教授(現、中央大教授)・中北浩爾さんの『日本共産党』(中公新書)、立命館大教授・福間良明さんの『司馬遼太郎の時代』(中公新書)、京都府立大准教授・秦正樹さんの『陰謀論』(中公新書)がある。

大学教員によるベストセラーの数々

 「新書大賞」は2008年にスタートした。同賞の上位作は話題となり、ベストセラーとなった。いくつか並べてみよう(受賞当時の所属大学・著者、出版社)。

  • 『日本辺境論』(神戸女学院大・内田樹さん、新潮新書)
  • 『生物と無生物のあいだ』(青山学院大・福岡伸一さん、講談社現代新書)
  • 『ケーキの切れない非行少年たち』(立命館大・宮口幸治さん、新潮新書)
  • 『教育格差』(早稲田大・松岡亮二さん、ちくま新書)
  • 『社会を変えるには』(慶應義塾大・小熊英二さん、講談社現代新書)
  • 『人新世の「資本論」』(大阪市立大・斎藤幸平さん、集英社新書)

 ある出版社の新書編集者はこう話す。「有名大学教授だから執筆を依頼することはない。出版物が高く評価された教授を、有名大学が招聘することはあるかもしれない」

 新書ベストセラー作家が東京大に集まる傾向がある。

 マルクス経済学、哲学、思想史、気候問題などに取り組む斎藤幸平さんが、2020年に刊行した『人新世の「資本論」』(集英社新書)は、50万部を超えた。『ゼロからの「資本論」』(NHK出版新書)も売れ行き好調だ。斎藤さんは1987年生まれ。ベルリン自由大、フンボルト大(以上、ドイツ)の大学院で研究生活を送る。2017年、大阪市立大准教授に就任し、2022年から東京大准教授として教壇に立っている。

 哲学者の國分功一郎さんは、2020年に東京工業大から東京大に移った。最近では、『近代政治哲学――自然・主権・行政』(ちくま新書)、『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』(講談社現代新書)、そして、『目的への抵抗―シリーズ哲学講話― 』(新潮新書)などを出している。

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