中日・根尾昂
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 若手選手の登竜門としてすっかりおなじみとなったフェニックス・リーグ。今年も温暖な宮崎を舞台に、10月9日から30日まで熱戦が繰り広げられた。そんな中から来季の飛躍を予感させる活躍を見せた選手をピックアップして紹介したいと思う。

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 まず投手で見事なピッチングを見せたのが根尾昂(中日)だ。投手に専念することとなった今シーズンは二軍で0勝7敗と大きく負け越したものの、防御率は3.43とまずまずの数字をマークしている。シーズン終盤に一軍昇格を果たすと、プロ初勝利こそならなかったが2試合とも好投。そしてこのフェニックス・リーグでも3試合に先発し、21回を投げて3失点という安定した成績を残したのだ。シーズン当初は二軍戦でも制球に苦しむことが多かったものの、夏場以降は狙ったところに投げられる割合が明らかに高くなったように見える。

 ストレートもコンスタントに140キロ台後半をマークしており、縦に鋭く変化するスライダーも大きな武器だ。チームは二軍の投手陣が崩壊しており、ドラフト(支配下)でも4人の投手を獲得したが、先発タイプで早くから戦力になりそうなのは1位の草加勝(亜細亜大)くらいであることを考えると、根尾にかかる期待は大きい。フェニックス・リーグでの好投を自信にして、来シーズンは開幕から一軍の戦力となることを期待したい。

 同じ投手で結果を残したのが堀田賢慎(巨人)だ。チームの開幕戦となった10日のKBO選抜2戦に先発して3回を無失点、4奪三振と好投するとその後も安定したピッチングを披露。最終的に4試合、20回を投げて自責点2、防御率0.90という圧倒的な数字を残した。ストレートは数字以上に打者の手元で勢いがあり、課題のコントロール、変化球もレベルアップした印象を受ける。今年は故障で出遅れて一軍ではわずか3試合の登板に終わり、二軍でも結果を残すことができなかったが、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところである。来シーズンは同学年で同じ東北出身の西舘勇陽(中央大)がドラフト1位ルーキーとして入団してくるだけに、プロでの先輩として意地を見せたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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