野手で強烈にアピールしたのが林晃汰(広島)だ。3年目の2021年に一軍で10本塁打を放ってブレイクしたがその後は低迷。今年は一軍で2年ぶりのホームランを放ったものの、20試合の出場で12安打という寂しい数字に終わっている。フェニックス・リーグでは打撃を生かすために外野にも挑戦。打率.405、3本塁打、13打点と打撃3部門(20打席以上)でチームトップの成績を残した。17安打中8本が長打(二塁打5本、本塁打3本)と持ち味である長打力を発揮できているところが好材料だ。チームは西川龍馬がフリーエージェント権を行使して移籍する可能性もあると言われており、そういう意味でも来年こそは林の一軍定着が望まれる。
野手でもう1人存在感を示したのが二刀流の矢沢宏太(日本ハム)だ。10月11日のKBO選抜2との試合でホームランを放つと、19日のKBO選抜1との試合でもホームランを含む3安打、3打点をマーク。投手としての練習や調整があるということもあって、試合出場は少なかったものの、改めて打者としてのポテンシャルの高さを示した。ルーキーイヤーの今シーズンは開幕一軍入りを果たしながら、6月に試合中の走塁で負傷して長期離脱となり、投手としても野手としてもそこまで目立った成績を残すことはできなかったが、体調さえ万全ならどちらも一軍で通用するだけの能力は持っている。オフにしっかりと体力面を強化して、来季は投打でフル回転の活躍に期待だ。
その他では仲三河優太(西武)が全体でトップタイとなる3本塁打を放つなど打撃で猛アピールを見せながら、10月31日に戦力外が発表された。今年は二軍でも少ない出場機会ながら結果を残しており、21歳とまだまだ若いだけに、フェニックス・リーグでの活躍を自信にして、新天地でプレーするチャンスをつかんでくれることを期待したい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。