長年上昇しない賃金の問題や記録的な円安を背景に、日本を出て海外で働いてお金を稼ぐ“出稼ぎ”が注目されている。セックスワーカーとして海外に出稼ぎに出る女性も増えてきた。背景には日本の貧しさがある。
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今年2月、NHK「クローズアップ現代」は「“安いニッポンから海外出稼ぎへ”〜稼げる国を目指す若者たち〜」と題し、安定した職をも捨てて海外に出稼ぎに向かう若者たちを取材した。期間限定のワーキングホリデービザなどで海外に出稼ぎに行く若者たちが「日本の倍は稼げる」と語る姿に、夢があると感じた視聴者も多かったのではないだろうか。
その“出稼ぎ”が、性風俗業にも起きている。売春を目的に、海外へ渡航する女性が急増しているのだ。
4年前から海外へ出稼ぎ
「海外のほうが日本よりずっと稼げるから、当面は今の働き方を続けたい」
そう語る女性がいる。女性は20歳から性風俗の仕事を始め、今年で35歳になる。都内のキャバクラ、デリヘル、ソープランドを渡り歩き、4年前から海外への“出稼ぎ”を始めた。
特定の店に所属せず、SNSやアメリカのパパ活サイトなどを通じ、客と直接やり取りして“仕事”を得ている。内容は、性交を伴うサービス、いわば売春だ。接客は、客に指定されたホテルで行うこともあれば、自宅や別荘に呼ばれることもある。具体的な内容や金額は、客の要望などを聞いたうえで個別に自分で判断する。
「個人でこの仕事をするのは、稼げるけどリスクが高い。問い合わせの時点で、『ちょっと変な人かな』と思ったら会いません。しっかり支払ってリピートしてくれる“上客”が何人かいるので、今はあまり客を広げず、固定の数人を軸に、客の知人などで客の輪を広げています」(前出の女性)