野崎さんが生前に購入していた、海が一望できる墓地

 訴状などによれば、原告側が筆跡鑑定を実施したところ、3人の専門家が「別人による筆跡」「遺言書は本人自筆ではない」との結論を出し、証拠として裁判所に提出されている。

 しかし、田辺市の代理人弁護士は、「野崎さんの筆跡である」として真っ向から主張が対立している。

10月27日、証人尋問で会社関係者らが証言

 和歌山地裁で10月27日に証人調べがあった。出廷したのは、野崎さんの貸金業の会社で取締役を務めた女性Aさんと、監査役だった男性Bさん。

 Aさんは、15年間勤めていたという。「遺言書」については「これは社長(野崎さん)の字です」と述べた。他にも、

「社長は赤が好きでペンを使っていた」「社長が過去に田辺市に寄付していたということも聞いており、郷土愛もあった」「社長は兄弟を嫌っていたので、財産を渡さないということに違和感はない」

 などと証言した。

 次に語ったのは、約6年勤めていたというBさん。野崎さんが亡くなった当時は「番頭さん」と呼ばれ、野崎さんの右腕のような存在だった。

 遺言書を書いたとされる当時はまだ勤めていなかったが、野崎さんの殺人事件関連で、

「警察(和歌山県警)から事情聴取された時にも言ったが遺言書はウソです。警察にはもっと調べてくれと頼んだ」

 と断言した。その理由の一つとして、遺言書が入っていた特注の金色の封筒について、

「遺言書の日付の時は、まだ金色の封筒を作っていなかった。封筒を作っていた会社に行って確認したので間違いない」

 と理由を説明した。

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