「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)が2018年5月に急性覚醒剤中毒で急死し、55歳年下の元妻、須藤早貴被告が殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕、起訴された事件。刑事事件の裁判はまだ始まっていないが、野崎さんの莫大な資産を巡り、田辺市と野崎さんの親族らが和歌山地裁で争っている。市に寄付すると書かれた“遺言書”の真偽は。10月27日、動きがあった。
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裁判が進んでいるのは民事訴訟ではあるが、いったん事件のこれまでの経緯を振り返っておきたい。
「美女ならカネに糸目はつけない」
野崎さんは会社経営者で、消費者金融や不動産、酒類販売などの事業で財を成したと言われている。女性好きでも知られており、生前、週刊朝日のインタビューにも「美女ならカネに糸目はつけない。これまで30億円くらい使った」と豪語していた。
事件が起きたのは2018年5月。野崎さんが須藤被告と結婚してから約3カ月が経ったころだった。夜、野崎さんが自宅2階の寝室のソファで全裸で倒れているのを、須藤被告と家事手伝いの女性が発見し、死亡が確認された。県警の調べで、野崎さんの胃の内容物などから致死量を超える覚醒剤の成分が検出された。県警は当初、事件・事故、自殺の可能性も含め捜査を開始したが、注射痕がなかったことなどから、野崎さんは口から覚醒剤を摂取したとみて調べを進めた。
覚醒剤は誰がどうやって入手し、野崎さんがどのように摂取したのかが焦点となったが、事件に目立った展開が見られず、報道も沈静化していった。