2009年8月30日に実施された衆院選挙で、厳しい開票状況について話す麻生首相。午後10時40分、東京・永田町の自民党本部。自民党は惨敗し、民主党に政権交代した。

 ポイントとなるのは、支持率だ。岸田政権の支持率は10月の各社世論調査で軒並み過去最低を記録しており、毎日新聞で25%、朝日新聞で29%といった調子だ。しかし、2009年に自民党が民主党に政権交代を許した麻生政権と比べると、まだマシな状況ではある。当時、麻生政権の支持率は10%を切り、首相にふさわしい人物として小沢一郎氏が40%もの支持を得ていた。

 尾藤さんはこう見る。

岸田首相もこうした過去のデータは見ていると思います。現在の野党は岸田首相を脅かすほどの人物はいませんし、政権支持率もまだ20~30%ある。その余裕があるから国民から反発を受ける政策もごり押しできるのだと思います。岸田首相は支持率の低下について『一喜一憂しない』とも言っていました。当面は国民の声よりも、身内の論理を重視するという姿勢が表れているのだと思います」

 それでは今井議員を国対副委員長にした理由はどこにあるのだろうか。彼女が言うように、国民には見えないところで実績を重ねている?

「選挙を意識した対応なのでしょう。今井議員は参院議員ですので、衆院で解散があれば、総選挙の際の応援要員として全国を回ってほしい、ということだと思います。『SPEED』の元メンバーである今井氏であれば、まだ人を集めることができます。これが岸田首相が言う“適材適所”ということです」(尾藤さん)

 なるほど……。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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