被害者に落ち度はない
「どんな状況であっても加害した人が悪いのであり、被害者に落ち度はありません。社会の認識も少しずつ変わってきてはいますが、『嫌よ嫌よも好きのうち』を今も信じている人や、二人で飲みに行ったのなら性行為をしてもいいという意識を持つ人はまだいます。被害者にもそうした認識を持っている人がいるので、性被害から守るために子どものうちから教えていく必要があると感じています」(支援員)
渡辺さんも、被害を矮小化したり、性加害を容認する空気感に思い当たる節があるという。
子どもの頃から、周りの大人に「短いスカートははかないように」「夜道は気をつけて」という言葉をかけられてきた。ネットを開けば、制服や痴漢をテーマにしたアダルトコンテンツの広告があり、いつの間にか「制服は性的に見られるものなんだ」と思うようになっていた。
「だから、性被害にあっても『自分が悪い』という自罰感情につながりやすいのかもしれません。でも、被害者の落ち度を血眼(ちまなこ)になって探すことが当たり前になっている現状は気持ち悪いです」
社会はこれまで女性や未成年者を性的に消費することに寛容すぎではなかったか。その空気が性犯罪を助長していることから目を背けず、性犯罪を許さない社会をつくらなければならない。(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年10月30日号より抜粋