政党に男女同数の候補者擁立を促す「政治分野における男女共同参画推進法」が2018年に制定されたが、罰則がないのでなかなかエンジンがかからず、施行後初の2021年の衆院選では、候補者の女性比率はほとんどの党で5割にほど遠かった。中でも自民党は現職が多いこともあり、女性の擁立に消極的だった。
こういう党の現状を自民党女性議員はどう見ているのか。
取材で本音に触れたことが何度もある。ある中堅議員は自嘲気味に語った。
「国会議事堂に女性トイレがなかった時代からすれば、政界も少しは進歩しているとは思いますが、侮辱されているなと感じるのは、閣僚ポストの『女性枠』という発想です。自民党内では当選5回以上が入閣の適齢期とされてきた。最近は一本釣りの抜擢で4回以下の入閣もたまにありますが、やはり原則は5回以上というのが共通認識です。ところが女性は例外で別枠扱い。当選3回程度でも選ばれる。特に安倍政権時代に『女性活躍』を打ち出していた頃は、まず『今回は何人女性を入れる』という『枠』を決めて、ならば誰、という人選だった。女性を登用してもらうのは嬉しいですが、個人の能力を見て判断してもらっているのではなく、“花を添える”意味合いなのかな、と。それに、男性に媚びる女性の方が登用されやすい。まあ、『女性がいる会議は時間がかかる』と発言した森喜朗元首相が、いまだ総理に助言したり、派閥に影響力を持っている党ですから」