だが、対日貿易赤字に不満を示し、「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買おう)」と呼びかけるトランプ氏の歓心を買うために差し出されたものの代償は重い。

 トランプ氏は口を開けば日本に対し、「武器を買え」と要求してきた。国賓として来日した際はもちろんのこと、国際会議での首脳会談時や、長電話の中でも「武器を買え」の要求があったという。

 そんな米国にシッポを振って武器を爆買いした結果、どうなったか。安倍政権時代に米国の武器輸出制度「対外有償軍事援助(FMS)」の支払いがとんでもない額に増えてしまった。

 このFMSはクセモノで、米政府が価格設定を主導し、交渉の余地は皆無に等しい。つまり、米国の「言い値」で武器を買わされている。そのうえ、購入代金は複数年度に分割して支払う。その「兵器ローン(後年度負担)」の残高は、第2次安倍政権1年目の13年度の3.23兆円が、22年度には5.86兆円だ。実に、日本の年間防衛費に匹敵する額にまで増えているのだ。米国への支払額も当然、増すばかりだ。

 防衛ジャーナリストの半田滋氏がゲンダイ(2022年5月30日発行)で次のように実態を指摘した。

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米兵器の調達額が安倍政権で激増