翌年以降も毎年、新たな成長戦略がまとめられたが、経済政策の効果よりも“やってる感”アピールを重視していたのは明らかで、次から次へと「看板の掛け替え」が行われた。
ざっと並べてみても……。
「地方創生」「女性の活躍推進」「働き方改革」「外国人材の活用」「生産性革命」「ローカル・アベノミクス」「第4次産業革命」「ソサエティ5.0」「プレミアムフライデー」
15年9月には、「アベノミクスは第2ステージに移る」とか言って、「新3本の矢」(希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障)が打ち出されたが、最初の「3本の矢」と違って、覚えている人は誰もいないのではないか。
「新3本の矢」でも数値目標として、「GDP600兆円」「希望出生率1.8の実現」「介護離職者ゼロ」が掲げられていたが、安倍政権退陣時までにいずれも達成できなかったのは言うまでもない。
規制緩和は「国家戦略特区」として継続的に議論が続けられたが、加計学園の獣医学部設置で便宜を図った疑いが浮上した「アベ友問題」で、大きなミソをつけた。
結局、日本経済を大きく牽引するような成長戦略は育たず、具体的な「形」が残った(残っている)ものとしては、「東京五輪」「カジノ(IR)」「観光立国(インバウンド)」などが挙げられるが、いずれもコロナ禍で大きなダメージを受けた。