安倍元首相
2013年秋の臨時国会で所信表明演説をする安倍晋三元首相(アフロ)

 第2次安倍政権において、安倍晋三元首相が主導した経済政策「アベノミクス」。金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢を掲げ、日本経済の再生を目指したが、低迷を抜け出すことはできなかった。アベノミクス失敗の要因は、3本目の矢の「成長戦略」にあるという。小塚かおる氏の新著『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ 「強権政治」との10年戦争』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。(肩書は原則として当時のもので、一部敬称略)

【写真】安倍元首相の写真をもっと見る

*  *  *

大風呂敷は広げたが、機能しなかった「3本目の矢」

 異次元緩和の金融政策が日本経済を歪め、大企業が競争力を失い、賃金が上がらなかったアベノミクス。最大の失敗は、3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」が機能しなかったことだ。

 結局一体、「成長戦略」って何だったのか、と問われても、適当な答えが出てこない。

著者プロフィールを見る
小塚かおる

小塚かおる

小塚かおる(こづか・かおる) 日刊現代第一編集局長。1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て2002年、「日刊ゲンダイ」記者に。19年から現職。激動政局に肉薄する取材力や冷静な分析力に定評があり、「安倍一強政治」の弊害を追及してきた。著書に『小沢一郎の権力論』(朝日新書)などがある。

小塚かおるの記事一覧はこちら
次のページ
アベノミクスの成長戦略はスタートから躓いていた