第2次安倍政権において、安倍晋三元首相が主導した経済政策「アベノミクス」。金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢を掲げ、日本経済の再生を目指したが、低迷を抜け出すことはできなかった。アベノミクス失敗の要因は、3本目の矢の「成長戦略」にあるという。小塚かおる氏の新著『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ 「強権政治」との10年戦争』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。(肩書は原則として当時のもので、一部敬称略)
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大風呂敷は広げたが、機能しなかった「3本目の矢」
異次元緩和の金融政策が日本経済を歪め、大企業が競争力を失い、賃金が上がらなかったアベノミクス。最大の失敗は、3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」が機能しなかったことだ。
結局一体、「成長戦略」って何だったのか、と問われても、適当な答えが出てこない。