更年期には、更年期症状や更年期障害といったわかりやすいサインがなくても、目に見えないところで、女性のからだにとってより本質的な変化が起こり始めています。それは、この時期を境に、エストロゲンがほとんどない状態が続くという点です。
更年期を迎える前でも、30代後半ぐらいから、女性ホルモンの分泌量は徐々に減り始めています。その後も、直線的に減っていくのではなく、アップダウンを繰り返しながら、だんだんと減っていきます。実際には、なだらかに減っていくわけではないと知っていただくと、からだとこころの揺らぎの原因となるもののイメージが湧きやすいかと思います。
さて、エストロゲンというホルモンが減る、ほとんどない状態は、どんな問題を引き起こすのでしょうか。それは、このホルモンが、私たちが気づかないうちに担ってくれていた役割─肌のハリやうるおいを保つ、血管の弾力性を保つ、骨を強く保つ、関節のすべりをよくするなど─ができなくなってしまうことです。いってみれば、更年期症状や更年期障害は、からだがエストロゲンのない状態に慣れていく過程で生じる不調ととらえることができるのかもしれません。
では、更年期に、生理にまつわる不調や、心身の変化を感じたときは、どうすればいいのでしょう。