問題がなければそれでもいいのかもしれませんが、「転ばぬ先の知恵」として、できれば前もって知っておいていただくことが望ましい。何か困ったことが起きてから対応するよりも、起こりうることをあらかじめ知り、対処法を持っておくほうが、将来の困りごとを減らせるからです。

 更年期にある女性が経験するさまざまな不調を「更年期症状」と呼びます。大量の汗をかく、ほてる、手足が冷える、肩がこる、眠れないなど、多種多様な症状が見られます。しかし、すべての更年期女性が不調を経験するわけではないことがわかっています。

 こういった症状を経験する女性の割合は約6割。残りの4割は、生理がバラついてきたとか、生理がこなくなったという月経周期の変化以外には、特に困ることもなくすごせるわけです。

 また、治療をしないとつらいなど、生活に支障が出る状態を「更年期障害」といい、更年期世代の女性の3割弱が相当します。

「更年期」「更年期症状」「更年期障害」は、それぞれ別々のことがらを指します。「更年期」は、その時期を指すにすぎません。にもかかわらず、私たちは「更年期」という言葉で「更年期障害」をイメージして、「更年期は怖い」と感じているのではないでしょうか。

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