今年は巨人の内野陣に大きな変化が起きた。高卒2年目の2008年以来15年間「不動の遊撃」として守り続けていた坂本勇人がシーズン途中に三塁へコンバート。遊撃にドラフト4位の門脇誠が入った。三塁を守っていた岡本和真は一塁へ。他球団のスコアラーはこう評する。
「坂本は三塁に入ってもまったく違和感がない。フットワークが良く、送球も安定しています。岡本は三塁を守り続けていましたが、グラブさばきが上手く他球団の一塁手と比べても巧い。門脇は球界を代表する遊撃になる可能性を秘めている。一番の魅力は強肩です。深い位置で守って逆シングルでも矢のような送球を投げられる」
二塁の吉川尚輝は守備能力の高さで言えば、昨年まで10年連続ゴールデングラブ賞を獲得している菊池涼介と遜色ないという。
「記者投票なので印象度で言えば、派手なプレーが目立つ菊池の方が見栄えがいいですが、守備範囲の広さは吉川の方が上です。巨人は内野のレギュラー全員がゴールデングラブを獲得できるレベルだと思います」(同)
門脇が遊撃のレギュラーをつかむ水準に達したのは、原辰徳前監督の功績が大きい。新人の昨年は内野で高い守備能力を発揮していたが、打撃は7月下旬まで打率1割台と試行錯誤を繰り返していた。スタメンを外してファーム降格の選択肢が考えられたが、首脳陣は将来の中心選手になると見極めたのだろう。岡本を一塁に回して三塁で試合に出続け、坂本が故障で離脱した時は遊撃を守った。課題だった打撃はプロの一線級の投手との対戦を繰り返すことで対応できるようになり、夏場以降は打率がグングン上昇。1つ先の塁を狙う積極的な走塁意識もチームに新たな風を吹き込んだ。規定打席には到達しなかったが126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁。攻守で合格点をつけられる内容で、大きな可能性を感じさせた。