人間を守ろうとする鬼・禰豆子
禰豆子は屈強なパワーを得たが、心までは鬼になっていなかった。愛する家族との懐かしい思い出によって「人の心」をなんとかとどめている。ある時、竈門兄妹は荒れたお堂で、人間をむさぼり喰っている鬼に遭遇した。
兄と戦闘になってしまった「お堂の鬼」を禰豆子は躊躇なく攻撃し、首を跳ね飛ばしてしまう。だが本来、鬼が人間の味方をすることはない。禰豆子が人間を守ろうとするこの行動は、他の鬼からすると「裏切り行為」にほかならない。
「やっぱり片方 鬼なのかよぉお 妙な気配させやがってえぇえ なんで鬼と人間がつるんでるんだぁああ」(お堂の鬼/1巻・第2話「見知らぬ誰か」)
鬼を“裏切る”禰豆子
その後の戦いでも、禰豆子はたびたび他の鬼から「何なんだ 鬼狩りに与する鬼なんて」などと非難されている。さらに禰豆子には”鬼らしくない”能力があった。禰豆子にしか使えない血鬼術・爆血(けっきじゅつ・ばっけつ)である。
遊郭の鬼・堕姫が「鬼だけ燃やす 奇妙な血鬼術」と指摘したように、これは不思議な能力だった。禰豆子は遊郭の戦いで、音柱の宇髄天元(うずい・てんげん)と堕姫とをこの爆血の炎で包んだことがあったが、鬼である堕姫は炎で悶え苦しみ、人間である宇髄はこの火に焼かれることはなかった。それどころか、爆血の炎は宇髄の身体に侵入していた「鬼の毒」を浄化した。つまり、禰豆子は自分が鬼であるにもかかわらず、鬼と鬼の術だけを「消滅させる」力を備えていたのだ。