鬼の力を得ようとした“弟”

 禰豆子以外にも「鬼の力」で鬼と戦う隊士がいる。風柱・不死川実弥の弟の玄弥である。刀鍛冶の里での戦闘で、「鬼喰い」という異能が明らかになった。

《不死川玄弥は鬼を喰うことにより 一時的だが鬼の体質になれる 強い鬼を喰えば それだけ再生能力も上がり筋力も上がる(14巻・第124話「いい加減にしろ バカタレ」)》

 鬼を喰った玄弥は、パワーだけでなく、その“気質”までも鬼に近づいていく。暴力的な態度が顕著になり、仲間にすら敵対心をあらわにした。そんな玄弥が語ったのはこんな言葉だった。

「お前なんかよりも先に俺が… 柱になるのは俺だ!!!」(不死川玄弥/13巻・第113話「赫刀」)

 玄弥は兄と再会するために柱を目指していた。むき出しになった本能から口にしたのは、「兄ちゃんに会いたい」というまるで子どものような素朴な願いだった。

不死川兄弟の秘密

 不死川兄弟が子どものころ、鬼化した母親が実弥と玄弥以外の弟妹を殺害する事件が起きて、その後、彼らは別々に暮らすようになった。玄弥は兄に会いに行くが、実弥はそれをかたくなに拒否し続ける。

「しつけぇんだよ 俺には弟なんていねェ」(不死川実弥/15巻・第132話「全力訓練」)

 兄が恋しい玄弥は鬼を喰うことで力をつけて、鬼殺隊の柱になることを目指した。柱である兄に会うためには、その方法しかなかったからだ。

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鬼にもなれず、人間にも戻れない