プロ野球のレギュラーシーズンも終わり、来シーズンに向けての動きも活発になる時期となってきた。10月26日にはドラフト会議も開催されるが、オフに行われるもう一つ大きなイベントが昨年スタートした現役ドラフトである。第1回の現役ドラフトでは12人の選手が移籍となり、その中から細川成也(DeNA→中日)、大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)が大ブレイクした。2人とも元の所属球団に残っていればこれだけの活躍を見せた可能性は低く、大きな成果と言えるだろう。
ただ一方で課題が見えたことも確かである。前年34試合に登板するなど中継ぎの一角として結果を残した古川侑利(日本ハム→ソフトバンク)は移籍したことによって逆に一軍の出場機会が減少。正隨優弥(広島→楽天)も二軍で打率.280、OPS.826と結果を残しながらも一軍ではわずか1試合の出場に終わっている。彼らにとっては移籍先がマッチしていなかったという印象は否めない。また成田翔(ロッテ→ヤクルト)、笠原祥太郎(中日→DeNA)、渡辺大樹(ヤクルト→オリックス)の3人は球団から来季の契約を結ばないと通達され、わずか1年でチームを去ることになっている。もちろん結果が全ての世界であるため、成績を残せなければユニフォームを脱ぐというのは当然ではあるものの、出場機会が少ない中堅選手の移籍活性化と飼い殺しを防ぐという狙いから考えると、改善の余地があることは間違いないだろう。
まず大きな問題点と考えられるのが対象となる選手の少なさだ。現行のルールでは指名対象の選手として各球団2名以上の支配下登録選手の名簿を提出し、各球団最低1名の選手を指名しなければならないとあるが、このやり方だとどうしてもどの球団も選手を出し渋る傾向が強くなる。それを防ぐために指名前に12球団が獲得したい選手を1人ずつ挙げ、最も人気が高かった選手の所属球団が最初の指名権を得るという仕組みにはなっているものの、力のある選手を放出する動機づけとしては弱い印象を受ける。昨年移籍した12人の選手のうち、既に3人が自由契約となっているのを見ても、対象選手の中に本当に欲しいと感じる選手が少なかったと言えるだろう。