小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、多くの日本人が気になる英語の学びに関する質問に答えてもらった。
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Q. ずばり、日本人の英語力を底上げするには、どういう教育をしていけばいいと思いますか?
A. 公立の小学校でも英語が必修化したのはすごくいいことだと思っています。ただ、内容を見ると、小学生でできればいいレベル設定が少し低い気がします。もうちょっとレベルを引き上げてもいいんじゃないかなと思うんですよね。
というのも、ここまでできればOKという基準を低めに決めてしまうと、そこに達成した時点でストップしてしまいます。子どもの頭がやわらかいうちに、ハイレベルとまではいかなくても、ある程度高いレベルのことに取り組まないのはもったいないと思うんです。小学3、4年生の授業でも簡単な単語や短いフレーズを学ぶだけでなく、少し長めの文章や会話文がもっと出てきてもいいような。教え方さえ工夫すれば、子どもたちは少々チャレンジングなことでもできるはずです。
また、日本に住んでいる限り英語は必要ないという意識がまだ根強くある気がするので、意識改革も必要だと思います。インバウンドの増加もあり、カフェでバイトするにも英語が必要になってくる時代です。どんな仕事であれ社会に出て働くなかで英語が必要な場面はきっと出てきますし、情報収集をするにしても日本語だけでなく、英語のニュースや情報源に触れられるほうが得られることも格段に多いです。
英語をなぜ学んでいるのか。英語ができるようになったら、どんな世界が見えてくるのか。そういう部分も見せていかないと、英語をただの「勉強科目」ととらえてしまって、テスト勉強だけをして終わってしまう気がします。そうなるとモチベーションも上がりませんよね。小さいころから英語を楽しいツールだと思ってもらうことが大事だと思うんです。
そのためには評価基準にも工夫が必要かもしれません。先生方が大変になってしまうかもしれませんが、テストで正答率の高い生徒だけでなく、たとえ内容が間違っていても英語を積極的に使おうとする生徒にも高い評価がつくなど、何か工夫の余地があるように思います。