Xで投稿があったように、もしこの件がアメリカで発生したとなると、懲罰的損害賠償が科せられる可能性は十分にあるという。

「アメリカでは『クラスアクション』という訴訟形態があります。日本語では『集合代表訴訟』と訳されることが多いようです。ジャニーズの問題では、被害者は数百人とも数千人とも言われています。被害者が原告となって提訴する際、数人の原告が全員の代表になることができるという制度が『クラスアクション』です。原告全員の同意を取り付ける必要がないので迅速な裁判が可能という利点があります。アメリカでは未成年に対する性加害は厳罰化の傾向が強いため、懲罰的損害賠償が評決される可能性は考えられます」(同)

 性加害という犯罪から参考となる判例を挙げてみよう。2018年、アメリカのミシガン州立大学は、大学のスポーツ医だった男性から性的暴行被害を受けた女子体操選手など332人に対し、総額5億ドル(約740億円)を支払うことで合意した。1人あたり約2億2000万円という巨額の賠償金が話題を集めた。

 2020年にはアメリカのボーイスカウト連盟が破産を申請した。2010年以降、過去の参加者がリーダーなどの関係者から性的虐待を受けていたとの訴訟が相次いだことが原因だった。ニューヨーク・タイムズは被害件数が約8万2000件、賠償額は24億5000万ドル(約3600億円)に達すると報じた。結局、賠償額が合計10億ドル(約1400億円)を超えた時点で破産が申請された。

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