「法を超えて」被害者を救済する方針を語った東山紀之新社長

 ジャニーズ事務所の所属タレントなどが、創業者のジャニー喜多川氏から性被害を受けていた問題で、メディアの一部は早くも賠償金の額について報じ始めている。

「サンスポ電子版が8月31日、『被害者が1000人として、1人あたり100万円としても10億円。1000万円なら100億円』と報じたほか、NEWSポストセブンも9月15日に『被害者1000人に一律300万円の支払いで30億円』と試算しました」(芸能記者)

 日本でも懲罰的損害賠償の制度が知られてきたことから、X(旧ツイッター)でも、「ジャニーズ事務所には懲罰的損害賠償が必要だ」「米国で訴訟したなら懲罰的損害賠償で1人10億円もあり得る」などの投稿が散見される。

 こうした議論を専門家はどう見ているのか。企業の損害賠償に詳しい山岸純弁護士は、まず「議論の前提」をこう語る。

「そもそも『誰を訴えるのか』という問題があります。性加害を指摘されたジャニー喜多川氏は2019年に他界しています。訴訟を起こすにしても、喜多川氏の遺産相続人を訴えるのか、法人としてのジャニーズ事務所を訴えるのかという点は重要です。さらに消滅時効の問題もあります。再発防止特別チームが発表した調査報告書によると、性加害は『1950年代から2010年代半ばまでの間にほぼ満遍なく存在していた』とのことです。となると、少なからぬ被害事例で消滅時効が成立しているのではないかという懸念が生じます」

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