「広告契約に関しては、ジャニーズのタレントがCMに出演すると商品の売上げも伸びたという実績が積み重ねられていたはずです。そして性加害の問題は以前から指摘されていたことを考えると、急に広告契約を再考するという企業の姿勢に『手のひら返し』とか『横並び意識』という批判が出るのも当然でしょう。テレビ局がタレントの起用を続ける考えを示していることも、これまでスタッフとタレントが一緒に番組をつくってきたという“人情”の側面も大きいのではないでしょうか。『これまで一緒に頑張ってきたんだから、これからも頑張らせてほしい』という思いがテレビ局の現場から出ているのだとすれば、(タレントの起用は)納得できる部分もあります。実際に今、テレビ番組に出演しているタレントは“つらさ”をみじんも感じさせず、そのプロ意識は素晴らしいと思います」

 ただし「過渡期であるという点は重要です」と辛酸さんは指摘する。

「もしジャニーズ側が社名変更に代表されるような抜本的な改革や、きめ細かな被害救済の制度を示せなかったとしたら、事務所に対する批判は今よりもさらに強まります。その際、かなりの視聴者が所属タレントのCMやテレビ番組の出演を疑問視するようになり、結果として企業も“ジャニーズ離れ”を加速せざるを得なくなると思います。タレントの退所者も増えていってしまうでしょう」

次のページ
商品ではなく「人」としてもっと大切に