高岡浩三氏(写真:本人提供)

 ジャニーズ事務所のタレントに対する広告契約解除が相次ぐなか、ネスレ日本元社長の高岡浩三氏のSNSでの発言が注目されている。社長時代は一度もジャニーズ事務所のタレントを起用したことはなかったという高岡氏に、広告案件でのタレント起用法や、今回のジャニーズ問題についての見解を聞いた。

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 9月11日、高岡氏は自身のフェイスブック(FB)で、「私は、ネスレのガバナンスとコンプライアンス規定の観点から、キットカットといえども一度もジャニーズのタレントをCMや販促に起用しなかった」と明かし、ネット上ではネスカフェのCMのキャッチコピーにかけて、「違いがわかる男」などと称賛の声が寄せられている。

 高岡氏は、性加害の実態を知らないふりをしていた取引企業やメディアも同罪と断じる。これまで経営者として、ジャニーズをどのように見てきたのだろうか。

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――FBの投稿によると、「ジャニー喜多川氏が元々性癖があってジャニーズ事務所を開設したといううわさは、かれこれ20年以上前からうわさとして知っていた」とのことですが、どのくらい詳細な内容が耳に入っていたのでしょう。

 性被害が現在進行形で起きているとまでは知りませんでしたが、ジャニーさんは若い男の子が大好きだから事務所を立ち上げたという話は、芸能事務所や広告会社の関係者、他の事務所に所属している芸能人など、複数人から聞いていました。

 当時は、それが大きく問題視されない時代でしたし、なによりジャニーズは絶頂期でした。ジャニーズに嫌われて、テレビ局の担当者が左遷されたなんていう話もいっぱいあったし、逆らったらえらいことになるという雰囲気でしたよね。

 でも私としては、そういう事務所のタレントを使うのはよくないという判断をしました。ジャニーズのタレントを使ってきた企業のほとんどが、そんなうわさは知っていたと思いますよ。「私は知りませんでした」なんて、社長たりとも通用しません。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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「ジャニーズを使えば売れる」はウソ