高岡浩三氏(写真:ケイアンドカンパニーWebサイトより)

 日本全国で商品を展開しているメーカーからすれば、タレント目的で商品を買ってくれる方の数は一握りです。私は、タレントに頼らなくても商品は売れるということを社員に徹底して教育しましたし、それで成功してきました。

 ジャニーズ事務所に関するコンプライアンス上の問題について、特に社内で共有はしていませんでしたが、ジャニーズを起用したいという声が上がることはありませんでした。

 ネスレでは、お金を使ったぶんのリターンが必ず求められます。10億円使ったら、売り上げではなく、利益が10億円以上増えないとだめ。外資系は利益に対して非常に厳しいけれど、多くの日本企業では、株主を含め誰もそんなこと言いませんよね。

 ただ人気のあるタレントを使って、赤字でもいいからお金をかけて、でも競合他社も同じようなタレントを起用しているから差別化できない。完全に思考停止です。

――高岡さんの社長退任後、「ネスカフェゴールドブレンド」のCMに「TOKIO」が起用されましが、どう感じましたか。

 特に何も思いませんでした。もちろん後任は推薦しましたけど、辞めたら一切会社には口を出さないという契約です。ただ、今回私がこういう発言をしたが故に、今の社長にはかわいそうなことをしてしまったかな……という思いはあります。

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私なら、契約解除はしない